先物取引の仕組み

概要

先物取引とは、①特定の商品を、②将来の定められた日に、③あらかじめ定めた価格で売買することを現時点で約束する取引です。先物取引の契約により、買い方は売り方より期限日に対象商品を約定価格で購入する義務を負います。反対に売り方は買い方に対象商品を約定価格で売却する義務を負います。

世界で最初に制度化された先物取引は、18世紀前半に我が国の大阪での堂島米市場で行われた「帳合米商い」と言われています。気候等の影響が生産物の価格に反映される農産物等の先物取引は、価格変動リスクを回避するために生まれました。

先物取引の目的は、価格変動リスクの回避目的で行う先物取引(ヘッジ取引)以外に高い収益を得るための投機目的で行う先物取引(スペキュレーション取引)や先物と現物又は先物と先物間の価格の乖離をとらえて収益を得る目的で行う先物取引(裁定取引)等があります。

特徴

反対売買での決済

先物取引では買い方は対象商品価格が上昇すれば利益が発生し、反対に下落すれば損失が生じます。売り方は対象商品価格が上昇すれば損失が発生し、反対に下落すれば利益が生じます。先物取引は期限日前に買い方は転売、売り方は買戻し(反対売買)で決済することができます。

取引の標準化

先物取引は多くの投資家が同一の取引に参加することができるように商品の種類、取引単位等の諸条件がすべて取引所において標準化されています。

証拠金制度

顧客が先物取引を行う場合には、取引の安全性を確保するために金融商品取引業者等に取引を行った日の翌営業日に証拠金を差し入れなければなりません。また証拠金制度の補完として値洗い制度を導入しています。値洗い制度とは、建玉を毎日の清算値で評価替えし、日々、評価差損益の授受を行う制度です。
※建玉とは、未決済になっている契約の総数のことをいいます。

先物価格の形成

先物価格は、期限日の現物価格を表します。先物の期限日が到来すると先物は現物になります。このように先物価格は現物価格と密接な関係を持っています。

つまり、先物の理論上の価格は、今、現物を取得するために必要な資金を借りてきたと仮定すると、その資金に借入利息を加算した金額から現物を取得することによって得られる収入(株式なら配当金、債券なら受取利息)を差し引いた金額になると推定されます。もちろん、先物の理論上の価格はあくまでも理論価格であって、現物価格通りに動くとは限りませんが、通常は先物の理論価格は下記の計算式で算定されます。

先物理論価格=現物価格×{1+(短期金利-配当利回り)×満期日までの日数÷365日}

利回りが短期金利よりも低い場合には、先物価格は現物価格よりも高くなります(この状態を先物がプレミアムといいます)。通常、株式の配当利回りより短期金利のほうが高いことが多いため、株式先物はこの状態になります。

反対に利回りが短期金利よりも高い場合には、先物価格は現物価格よりも低くなります(この状態を先物のディスカウントといいます)。通常、債券の利回りに比べ短期金利の方が低いことが多いため、債券先物はこの状態になります。

先物取引の意義

価格変動リスクの移転機能

株式や債券等の現物の価格変動リスクを避けたいと思う人は、その商品の先物を利用することによって、そのリスクを回避することができます。例えば、株式を保有している人が株式相場の値下がりによる株価の下落リスクを回避したい場合には、株価指数先物を売ることになります。また、株式相場の上昇期に、現在、現物を購入する資金が不足している場合には、株価指数先物を買うことになります。

新たな投資手段の提供

1.ヘッジ取引
ヘッジ取引とは、先物市場において現物ポジションと反対のポジションを設定することによって、現物における価格変動リスクを回避しようとする取引のことです。なお、ヘッジ取引を行う人のことをヘッジャーといいます。

2. 裁定取引(アービトラージ取引)
裁定取引とは、あるものの価格関係において、一時的に乖離が生じた場合に、割高なものを売ると同時に割安なものを買い、その後、この二つが適正価格に戻ったところでそれぞれ決済を行い利益を獲得する取引のことです。なお、裁定取引(アービトラージ取引)を行う人のことをアービトラージャーといいます。

3.スペキュレーション取引
スペキュレーション取引とは、先物の価格変動をとらえて利益を得ることのみに着目する取引のことです。なお、スペキュレーション取引を行う人のことをスペキュレーターといいます。

先物取引は、市場での取引を通じて、相互に逆方向のリスクをもつヘッジャーの間でリスクが移転されます。また、ヘッジャーからスペキュレーターにリスクが転嫁されることにより価格変動リスクの目的が果たされます。先物市場はヘッジャーに対してはリスク回避の手段を与え、スペキュレーターに対しては投機利益の獲得機会を与え、アービトラージャーに対しては裁定利益の獲得機会を提供します。

現物市場の流動性の向上機能

先物取引を利用することによって、現物の価格変動リスクを回避することができれば、より多くの投資者が現物のポジションを持つことに積極的になると考えられます。先物市場の存在によって、その商品の現物市場の厚みが増して流動性が向上すると考えられるのです。

現物の価格決定機能

先物価格は、将来の現物価格の予想値と考えることができます。先物市場が存在することによって、そこで形成される将来の予想値に基づく需給が生まれることにより、現物価格も影響を受けることになります。

先物取引と信用取引の相違

先物取引と先述の信用取引には、証拠金制度及び値洗い制度の採用等において類似しているところがあります。しかし、下記の2点において両者の本質的な部分において異なっています。

貸借関係の相違

信用取引の買い方は金融商品取引業者から代金の融資を受け、売り方は金融商品取引業者から株式を借りて売買を行います。先物取引はそのような貸借関係は存在しません。

価格付けの相違

信用取引では現物市場において取引が行われますので、信用取引の価格と現物取引の価格は同一のものとなります。しかし、先物取引では現物市場とは異なる先物市場で取引が行われますので、先物取引の価格と現物取引の価格は別々のものとなります。

 

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