店頭デリバティブ取引

種類

日本証券業協会の自主規制の対象範囲となる店頭デリバティブ取引として下記のものをあげることができます。
(1) 金利デリバティブ
(2) 為替デリバティブ
(3) エクイティ・デリバティブ
(4) クレジット・デリバティブ
(5) 天候デリバティブ
(6) 災害デリバティブ

上記(3)を除いたものが、特定店頭デリバティブ取引等です。なお、上記以外の代表的な店頭デリバティブとしてコモディティ・デリバティブがあります。

金利デリバティブ

店頭デリバティブの残高合計(想定元本)のうち7割を占めているのが、金利デリバティブです。

金利スワップ

同一通貨の間で変動金利と固定金利、変動金利と異種の変動金利等、異なる金利同士を交換する取引のことを金利スワップと呼びます。元本の交換は行われません。

固定金利と変動金利(LIBOR)を交換するスワップが最も基本的な金利スワップで、プレーン・バニラ・スワップと呼びます。下記の図は、銀行から変動金利で資金を借り入れた甲社が将来の金利上昇を懸念し、将来金利下落を懸念している乙社に対して、金利スワップ取引を行っていることを表しています。

※LIBORとは、ロンドン銀行間取引金利のことをいい、銀行間で資金の貸借を行う際の指標金利を表します。

キャップ(Cap)

変動金利(LIBOR等)を対象としたコール・オプション取引のことをキャップと呼びます。キャップ取引は、将来の金利上昇リスクをヘッジする手段として用いられます。

フロア(floor)

変動金利(LIBOR等)を対象としたプット・オプション取引のことをフロアと呼びます。フロア取引は、将来の金利低下による保有資産の受取金利収入の減少リスクをヘッジする手段として用いられます。

スワップション(スワップオプション)

将来のスワップを行う権利を売買するオプション取引のことをスワップションと呼びます。買い手にとっては、はじめにプレミアムを支払うだけで、将来の一定期間にわたり金利スワップを行う場合の固定レートなどの条件を保証する効果が期待できます。

(1) レシーバーズ・スワップション
固定金利受取り・変動金利支払いの金利スワップを行う権利

(2) ペイヤーズ・スワップション
固定金利支払い・変動金利受取りの金利スワップを行う権利

為替デリバティブ

通貨スワップも金利スワップと同様、基本的な店頭デリバティブ取引です。世界で最初に行われたスワップ取引が、1970年代になされた通貨スワップといわれています。

通貨スワップ(クロス・カレンシー・スワップ)

異なる通貨の元本及び金利等のキャッシュ・フローをあらかじめ合意した為替レートで交換する取引のことを通貨スワップといいます。例えば、外債などの外貨建資産をもつ企業が、将来の円高に対する為替リスクのヘッジのために銀行等の間で通貨スワップ取引の締結を行います。

レンジ・フォワード(リスク・リバーサル)

予約締結レートに一定の幅を設け、為替レートの範囲を限定させるオプション取引のことをレンジ・フォワードといいます。例えば、輸入業者において円安・ドル高の場面では輸入商品のドルでの支払額を抑えるためにコールを購入しておき、同時にプットを売却してコストを減らし、円高・ドル安のとき、利益の一部を放棄するというようなポジションをとります。

バタフライ

比較的相場が落ち着いている場合に、3種類の行使価格がそれぞれ異なる同一タイプの(コール又はプット)オプションの組み合わせにより構成するオプション戦略のことをバタフライといいます。

バリア・オプション

一定期間に原資産価格があらかじめ定めた一定の水準(バリア価格)に達すると、オプションが発生(又は消滅)する取引をバリア・オプションといいます
(1) シングル・バリア・オプション
バリアを一つだけ持つタイプ

(2) ダブル・バリア・オプション
バリアを二つ持つタイプ

(3) ノックイン
オプションが発生するタイプ

(4) ノックアウト
オプションが消滅するタイプ

(5) バイナリーオプション(ディジタル・オプション)
将来の特定の一時点で原資産価格が特定領域に入っている場合にのみ、あらかじめ定められた金額を支払う取引のことをディジタル・オプションといいます。

エクイティ・デリバティブ

個別株式の株価及び株価指数の変動リスクを内包したデリバティブの総称をエクイティ・デリバティブといいます。原資産が株価指数の場合は、現金決済(キャッシュ・セトル)となります。原資産が個別株式に場合は、一部あるいはすべてが現物決済(フィジカル・セトル)となります。

個別株先渡取引

個別株式を将来の一定の時期に、あらかじめ合意した価格で購入(売却)する取引のことを個別株先渡取引といいます。決済は、一部あるいはすべてが現物決済となります。

事業法人の特殊な事情で取引が発生するものであるため、取引量は極めて少ないものといえます。

株価指数先渡取引

日経平均株価及びTOPIXなどの株価指数を将来の一定の時期に、あらかじめ合意した価格で購入(売却)する取引のことを株価指数先渡取引といいます。株価指数先渡取引は市場デリバティブ取引である株価指数先物取引と同じスキームになります。決済は現金決済となります。決済期日に建玉が残っていた場合には、差金決済(取引最終日の翌日における株価指数構成銘柄の始値を基に算出されるSQとの差金決済)となります。

エクイティ・スワップ

投資家(金融機関)と金融商品取引業者が変動金利と株価指数(個別株価)のパフォーマンスを交換するスワップ取引のことをエクイティ・スワップといいます。

投資家は、金融商品取引業者に変動金利を支払う一方、株価指数(又は個別株式)の上昇率を金融商品取引業者から受取ることができます。株価指数が下落した場合には、投資家が当該下落率を金融商品取引業者に支払うことになります。

個別証券オプション及び指数オプション

基本的に個別証券オプション及び指数オプションとも、取引所に上場されているオプションと同じですが、取引者のニーズに基づいた個別性の強い取引となっています。

バリアンス・スワップ

投資家(金融機関)と金融商品取引業者との間で、日経平均株価等の株価指数(又は個別株価)の価格変動性の実現値と固定価格を交換するスワップ取引のことをバリアンス・スワップといいます。ベガ・リスク(ボラティリティの変動リスク)をヘッジするためには、オプションを用いますが、バリアンス・スワップを用いればより直接的なヘッジが可能となります。

クレジット・デリバティブ

これまでのデリバティブ取引が主に価格・金利・通貨の変動リスク等の市場リスクを対象としてきたのに対し、クレジット・リスクは信用リスクを対象とします。

トータル・リターン・スワップ(TRS:Total Return Swap)

保証を受ける側であるプロテクション(保証)の買い手(プロテクション・バイヤー)が、保証をする側であるプロテクションの売り手(プロテクション・セラー)に社債等の参照資産の利息及び評価益を支払い、その代わりに値下がり分及び想定元本に対して計算される短期金利(LIBOR+α)を受取るスワップ取引のことをトータル・リターン・スワップといいます。

プロテクション・バイヤーは、社債等を保有したまま売却した場合と同様の経済効果が得られるという利点があります。プロテクション・セラーは、資金の受払いは純額で行われますので、少ない資金負担で社債等を保有した場合と同様の経済効果が得られるという利点があります。

クレジット・デフォルト・スワップ(CDS:Credit Default Swap)

リスクをヘッジする側であるプロテクションの買い手(プロテクション・バイヤー)が、リスクを取る側であるプロテクションの売り手(プロテクション・セラー)にプレミアム(スプレッド又は保険料)を支払い、その見返りとして、契約期間中に対象企業にクレジット・イベント(デフォルト等)が発生した場合に、損失に相当する金額を売り手から受取る取引のことをクレジット・デフォルト・スワップといいます。

クレジット・イベントが発生しなかった場合には、そのまま取引が終了し、支払われたプレミアムは掛け捨てとなります。

一定の事象が発生した場合には、受取りが発生し、一定の事象が発生しなかった場合には、受取りがゼロになるという点で、ディジタル・バリア・オプション(ノックイン・ディジタル)に類似したものといえます。

FTD(ファースト・トゥ・デフォルト)

複数の企業の信用リスクをまとめたバスケット型クレジット・デリバティブにおいて、そのうちの1社でもデフォルトした際に、それをきっかけとして、クレジット・イベントが決済される仕組みのことをFTDファースト・トゥ・デフォルト)といいます。

CDO(Collateralized Debt Obligation)

ローン債権、債券(社債)及びCDSを多数集めてプールし、これを担保資産として発行される証券のことをCDOといいます。証券化によって銀行のバランスシート上の資産を売却し資産を圧縮するということが行われていましたが、近年の米国では過剰な証券化(クレジットの劣った住宅ローン債権等)が濫用されたこと等により、サブプライム・ショックが引き起こされ、金融機関及び格付機関のモラルハザードが問題となっています。

天候デリバティブ及び災害デリバティブ

天候デリバティブ(ウエザー・デリバティブ)

オプション(買い手)からみて、異常気象及び天候不順などを原因とする利益の減少リスクを軽減するためのリスクヘッジ商品を天候デリバティブといいます。

天候デリバティブの多くは相対取引で行われます。買い手が支払うプレミアムを保険料とみなすことで、保険に近い経済効果を得ることができます。しかし、保険と異なり実損填補を目的としないため、一定の条件が満たされれば、実際に損害が発生しなくても決済金が支払われます。

CDD(Cooling Degree Day)・HDD(Heating Degree Day)

米国で一般的に扱われている天候デリバティブは、CDDやHDDという指標の上に置かれた先物、スワップ及びオプションになります。

(1) CDD
日平均気温が基準温度以上の場合、日平均気温が基準温度をどれほど上回ったかを表します。

(2) HDD
日平均気温が基準温度以下の場合、日平均気温が基準温度をどれほど下回ったかを表します。

例えば観測期間を1年とした場合の累積CDD及び累積HDDの意味するところは次のようになります。

累積CDD
大きくなる→夏期は猛暑→冷房消費電力は大きくなる。
小さくなる→夏期は冷夏→冷房消費電力は小さくなる。

累積HDD
大きくなる→冬期は厳冬→暖房消費電力は大きくなる。
小さくなる→冬期は暖冬→暖房消費電力は小さくなる。

電力取引が自由化されている米国では、電力デリバティブ、天然ガスや原油にも関連したコモディティ・デリバティブの1種であるエナジー・デリバティブ取引が活発に行われています。一方、電力取引が自由化されていない日本では、電力会社等にとって気温を参照する天候デリバティブの取引ニーズは乏しいものとなっています。

災害デリバティブ

数十年や数百年に一度発生する大災害など、非常にまれな事象を対象としたものを災害デリバティブといいます。
(1) CAT(Catastrophe)スワップ
国内損保と海外損保の各々が自国で引き受けた自然災害保険の再保険として、当該自然災害保険に係るリスクを交換する取引のことをCAT(Catastrophe)スワップといいます。

(2) 地震オプション
地震による利益の減少及び損害発生に対するリスクヘッジ商品のことを地震オプションといいます。地震保険と異なり、損害が発生しなくても一定の条件が満たされれば決済金が支払われます。

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