財務会計入門(第5版)田中健二著

財務会計入門(第5版)

財務会計の書籍

今月に入って財務会計に関する書物が次々と出版されました。メジャーどころでは、「財務会計講義 第19版(桜井久勝著)」「新・現代会計入門 第3版(伊藤邦雄著)」、「財務会計・入門 第12版(桜井久勝・須田一幸著)」といったところです。財務会計に関するいわゆる基本書と呼ばれている本で最も有名なのが、桜井久勝先生の「財務会計講義」でしょう。毎年のように改訂されており、なんといっても、本の帯には、「日本一読まれている財務会計のテキスト」と書かれてあるぐらいですから。少し前までは、広瀬義州先生の「財務会計」という本もよく読まれていた財務会計の本でした。こちらも「財務会計講義」と同じように毎年、改訂されていましたが、残念ながら広瀬先生が亡くなられたことにより、改訂本は出版されなくなってしまいました。ということもあり、今では、財務会計の基本書は桜井先生の「財務会計講義」のみという状態になっています。

財務会計講義(桜井久勝著)

しかし、私はそれほど「財務会計講義」がわかりやすく読みやすい本だとは思わないのです。確かに素晴らしい本ではありますが。このような財務会計の専門書を読む人というのは、もちろん大学でのテキストで仕方なく購入し、読まざるを得ないという人も多いかと思いますが、それ以外の人であれば、簿記2級ぐらいの知識があり、これから税理士や公認会計士を目指そうかなぁと思っている人たちなのだろうと思います。

財務会計の内容は非常に多くなっており、また、近年では、国際財務報告基準(IFRS)との関係で、少し複雑化していく傾向にあります。その中で、財務会計に関する本を出版される先生方は、財務会計の全内容の中でどの部分を説明し、どの部分を省略するのかの取捨選択をしなければなりません。そこに著者のセンスが問われてくることになります。桜井先生の「財務会計講義」は、その取捨選択が絶妙にうまく、非常にバランスの取れた内容となっています。その部分が19版まで出版され続けた原因の一つだと思います。

財務会計の本にとって大切なことは、財務会計の全体像が理解できることだと思います。というのも、なぜそうなるのか?という疑問に対する答えについては、財務会計の本には、あまり書かれていません。その疑問に対する背景(答え)は、企業会計基準委員会が発表している会計基準等に書かれています。過去に発表された「企業会計原則」の一般原則などのような抽象的に書かれているような原則については、学者間で意見が分かれるところもあり、その個性が著者の色となって本に表現されていたように思うのです。しかし、最近の財務会計の本は、それほど著者の色が大きく異なるものではありません。そうなると、財務会計の本に求められるのは、先ほども書きましたが、財務会計の全体像が理解できることにつきると思うのです。財務会計の全体像を理解できるような本に求められるのは、財務会計の重要事項がある程度網羅されているということと、最後まで読み切れるような読みやすい文章の2つだと思うのです。桜井先生の「財務会計講義」は初版に比べて、だいぶん分厚くなりました。また、文章がかたいため、結構、最後まで読むのに苦労します。

財務会計入門(田中健二著)

私がお薦めするのは、田中健二先生の「財務会計入門 第5版」(中央経済社)です。非常にコンパクトにまとめられており、また読みやすい文章になっているため、最後まで一気に通読することができます。

本書は、簿記をある程度学んだ後に、次のステップとして財務会計を学ぼうとする学生、および、簿記と財務会計を同時平行的に学ぶ学生を主な対象とした教科書です(財務会計入門 第5版)。

上記の文章は、財務会計入門の序文に書かれています。対象者を絞り込むことによって、本に書かれている内容も財務会計の初級から中級にかけてのものとなっています。今回の第5版では、新しい収益認識基準(公開草案が2018年3月に確定予定)が反映されています。簿記2級ぐらいまで学習された方で、財務会計の本を読んでみようと思っている人は、是非、「財務会計入門(第5版)」も選択肢の一つに入れていただければと思います。

 

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