「検定簿記講義(中央経済社)」について

「検定簿記講義(中央経済社)」について

超定番ロングセラーというものの

簿記の検定試験を受験するための勉強手段として、独学での勉強と資格学校を利用しての勉強とに分けることができます。通信教育などを利用したり、学校などで受験対策講座を受講し勉強することも資格学校を利用をして勉強する部類に分けると、基本的に独学での勉強は、市販の参考書や問題集を購入して勉強することになります。

書店にいけば、多くの検定試験対策用の参考書類が出版されています。それらの多くは、T社、O社、N社などの資格学校のものですが、しかし、それらの資格学校の本よりも最もいい場所に並べられているのが、中央経済社の「検定簿記」という本です。本には、「選ばれて60年 超定番のロングセラー」という帯が掲げられています。まさしく、それは、食品の世界での日清の「カップヌードル」や、カルビーの「かっぱえびせん」といったところでしょうか。しかし、超定番のロングセラーであるにもかかわらず、「カップヌードル」や「かっぱえびせん」みたいに評判がとてもいいという訳ではないようです。今回はそのあたりを少し述べていきたいと思います。

「検定簿記」の著者は、著名な大学の先生が中心となって執筆されているため、内容面については、信頼があります。数年前の「検定簿記」については、早稲田大学の新井清光先生や一橋大学の岡本清先生など会計学の重鎮が編者になっておられたこともありますし、それらの先生方の弟子にあたる先生方が基本的に編者や執筆をされていますので、他の受験本よりも信頼性は高いといえます。

本シリーズは、1956年以来、すでに60年におよぶ長い歴史を有しており、極めて多数の受験者のための参考書としてだけでなく、簿記・会計の基本的な学習参考書として愛され、信頼されてきました「検定簿記3級 まえがき」。

数年前には、税務経理協会という会社が中央経済社と同じように簿記検定に関する受験本を出版していましたが、それが、受験校の出版物の台頭により廃刊になったことを考えると、今でもずっと「検定簿記」が残っていることは、ある一定のニーズを現在も保っているといえるのかもしれません。

では、独学で簿記検定を目指している方にとって、この「検定簿記」という本は使えるのかということですが、簿記3級の合格を目指している簿記初心者の方にとっては、少し厳しいと思います。「検定簿記」を使うよりも受験校が出版している他の参考書を選ぶべきかと思います。理由としては、テキスト構成が初心者向きではないということがあります。簿記は、取引→仕訳→転記という期中取引を行い、決算時に決算整理仕訳や決算振替仕訳を行うことで貸借対照表や損益計算書を作成していきます。「検定簿記3級」では、期中取引の処理と決算整理の処理を混在して解説しているため、初心者にとっては、どの時点の処理かがわかりづらくあるおそれがあるとともに、決算整理仕訳は、初心者にとっては少しわかりづらい処理であるにもかかわらず、それが、本の最初の方に出てくるため、理解困難になり挫折をしてしまうおそれがあります。

なぜ、そのような初心者にとってわかりづらい構成をしているのかといえば、昔の簿記書の構成の多くがそのような構成だったことが挙げられます。さきほども述べましたが、現在の「検定簿記」の編者及び執筆者は、早稲田大学の新井清光先生や一橋大学の岡本清先生などの弟子にあたる先生方が基本的に担当されています。その先生方が自らの師匠である先生方の作られた構成を大幅に変更することは、ほとんど期待することはできません(陳腐化した企業会計原則がまだ残っていることもわかるかと思います)。

アマゾンでのレビューでは、検定簿記3級について、次のように書かれているものもありました。

安いが、この本のメリットは安いだけ。他の人も書いているが、事実を述べるだけで何故そうなるのかの解説が一切無い。

とか、

検定簿記2級についても

なぜなら、解説が一切ないから。普通の教科書なら、「これがこうなってこうなる、なぜならこうだから」とあるところ、この本は「これがこうなってこうなる。以上」

少し手厳しいご意見ですが、少し弁護すると、他の受験本についても、なぜそうなるのかの解説はあまり書いてありません。しかし、受験校の本などは、イラストや図表が多く使われていますので、それに比べればこの「検定簿記」の読みづらさは否定できない部分はあります。その点についても、簿記初心者にとっては、「検定簿記」を独学用のテキストとして使うのは厳しいと思います。

しかし、ある程度、簿記の知識が身についた方にとっては、「検定簿記」は相応しい教材となります。簿記1級を目指す方にとっては、「検定簿記」は非常に使える教材となります。少し長くなりましたので、このあたりの話は、まだ後日にしたいと思います。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です