簿記3級検定試験の大幅範囲改訂(2/3)

簿記3級検定試験の大幅範囲改訂(2/3)

小規模株式会社を前提

簿記3級検定試験が2019年(平成31年)度より大幅に変更されます。

今までの簿記3級検定試験では、簡易な簿記の能力を確認するという点と日本において個人事業主の数の方が多い点を考慮した結果、個人商店を前提とした出題になっていました。しかし、今回の改正で今後は小規模の株式会社を前提とした出題に変更となりました。

変更の理由としては、個人商店よりも株式会社会計の方が重要性が高いことや、純資産の処理などにおいて株式会社会計を前提としている簿記2級検定試験との連続性が確保されていないため、受験生負担が大きいなどの理由が挙げられています。

小規模な株式会社を前提として出題がなされることから、従来の出題では、12 月決算の出題が中心でしたが、今後は株式会社で多く見られる3月決算の出題が基本となります。

簿記3級試験範囲の改訂についてはこちら!

簿記3級検定試験の大幅範囲改訂(1/3)の記事はこちら!

有形固定資産取引

直接法の削除

直接法による記帳方法が簿記2級に移行しました。移行理由としては、財産管理や財務諸表作成においては、間接法が望ましいことと、近年、直接法による出題がほとんどないため、受験生の学習負担を考慮したことなどが挙げられています。

固定資産台帳の追加

実務において、固定資産台帳という補助簿が、財産管理や減価償却費計算を目的としてよく利用されている点を考慮して、簿記3級検定試験の範囲に追加されました。出題方法としては、主として今まで第2問で出題実績のある補助簿の選択や補助簿の記載内容から処理を問う問題を予定しているようです。

純資産(資本)取引

引出金勘定の削除

簿記検定3級の前提が、個人商店から小規模の株式会社に変更となったことから、個人商店を想定した資本金および引出金の処理が簿記3級の試験範囲から除外されました。

収益と費用

法定福利費の追加

今までの簿記3級検定試験においても、社会保険料の従業員負担分を「社会保険料預り金勘定」で処理する出題が行われてきました。しかし、企業負担分については費用処理するための「法定福利費勘定」が「勘定科目表」に記載されていなかったため、3級の出題範囲であるのか明確ではありませんでした。そこで、今回、社会保険料は小規模の株式会社でも生じることから、3級で一連の処理を取り扱う必要性が高いと判断し、出題範囲として明示されました。

税金

法人税、住民税及び事業税の追加

簿記検定3級の前提が、個人商店から小規模の株式会社に変更となったことから、個人商店を前提とした所得税が削除され、株式会社の利益に対して課税される法人税、住民税及び事業税が3級の出題範囲に追加されました。出題については、税引前当期純利益に対して、問題文に示されている税率を掛けて税額を求める問題、または確定申告による納付及び中間納付に関する問題に限定されるということです。

消費税の処理(税抜き方式)

消費税の処理が新しく試験範囲に追加されました。追加理由として、消費税は企業規模に関わらず必然的に生じるため、3級受験者にとっても重要であるとの点が挙げられています。なお、消費税の処理方法については、消費税の基本的な仕組みの理解を促すことや複数の処理方法を範囲に含めることによる学習負担を考慮した結果、税抜方式に限定して出題されるとのことです。

決算

当座借越の振替

期中の当座借越取引については、すべて当座預金勘定で処理されることから、決算時において、当座預金勘定が貸方残高となっている場合には、適切な決算整理仕訳を行う必要があります。

【例1】決算において当座預金勘定の残高が¥200,000(貸方)となっているが、これは全額が当座借越による
ものであるため、適切な勘定へ振り替えることとする。

借方科目 金額 貸方科目 金額
当座預金 200,000 当座借越(又は借入金) 200,000

 

【例2】 期首において当座借越勘定の残高¥200,000を適切な勘定に振り替えることとする(再振替仕訳)。

借方科目 金額 貸方科目 金額
当座借越(又は借入金) 200,000 当座預金 200,000

 

消耗品勘定に削除と貯蔵品勘定の追加

文房具などの消耗品について、従来は、購入時に消耗品勘定(資産)で処理する方法と消耗品費勘定(費用)で処理する方法の2つがありました。しかし、実務上では、毎期経常的に購入して消費する消耗品は購入時に費用処理し、たとえ期末に消耗品が残っていても資産へ振り替えないのが一般的であるため、一般的な消耗品はすべて購入時に費用処理する方法に限定して出題されることとなりました。

また、小規模な会社においても郵便切手や収入印紙など換金性が高い資産は、財産管理や税務申告を目的として厳密な資産計上を行うことがあるため、従来は2級の標準勘定科目として明示していた「貯蔵品」を3級の範囲へ移行し、決算において郵便切手や収入印紙などの未使用分を費用から貯蔵品へ振り替える処理を出題範囲として追加されました。なお、郵便切手や収入印紙を購入した時は、適切な費用勘定で処理し、決算時において、決算整理で未使用分を貯蔵品勘定へ振り替える方法に限定して出題することとされています。

【例1】収入印紙¥30,000 を購入し、代金は現金で支払った。

借方科目 金額 貸方科目 金額
租税公課 30,000 現金 30,000

 

【例2】  決算時において未使用の収入印紙が¥9,000 あった。

借方科目 金額 貸方科目 金額
貯蔵品 9,000 租税公課 9,000

 

【例3】  期首おいて未使用の収入印紙¥9,000 の再振替仕訳を行った。

借方科目 金額 貸方科目 金額
租税公課 9,000 貯蔵品 9,000

収益・費用の前払い・前受けと未収・未払いの計上

「収益・費用の繰延と見越」は、3級受験者にとって理解しにくい論点の1つです。そこで、名称を「収益・費用の繰延と見越」から「収益・費用の前払い・前受けと未収・未払いの計上」に変更し、イメージ付けしやすいようになりました。また、特に見越という用語の使い方が受験者の理解を妨げる一因になっていることが危惧されるということで、今後の出題においても見越という表現を極力避けることとするとされています。

月次決算による場合の処理を追加

小規模の株式会社においても月次決算を行っている会社があるため、3級の出題範囲に追加されました。ただし、簿記3級の出題においては、受験者の負担を考慮して減価償却費の見積額を月末に計上する処理に限定して出題するということです。


 

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