簿記3級検定試験の大幅範囲改訂(1/3)

簿記3級検定試験の大幅範囲改訂の報告(1/3)

小規模株式会社を前提

簿記3級検定試験が2019年(平成31年)度より大幅に変更されます。

今までの簿記3級検定試験では、簡易な簿記の能力を確認するという点と日本において個人事業主の数の方が多い点を考慮した結果、個人商店を前提とした出題になっていました。しかし、今回の改正で今後は小規模の株式会社を前提とした出題に変更となりました。

変更の理由としては、個人商店よりも株式会社会計の方が重要性が高いことや、純資産の処理などにおいて株式会社会計を前提としている簿記2級検定試験との連続性が確保されていないため、受験生負担が大きいなどの理由が挙げられています。

小規模な株式会社を前提として出題がなされることから、従来の出題では、12 月決算の出題が中心でしたが、今後は株式会社で多く見られる3月決算の出題が基本となります。

簿記3級試験範囲の改訂についてはこちら!

現金預金取引

複数預金口座の開設

実務においては、預金口座を取引先ごとに設定していることが多いことを考慮し、今回の改正で取引先ごとに普通預金口座や当座預金口座等を開設し、そして、その管理のために口座ごとに勘定を設定させる出題が新たに加わりました。

【例1】 得意先広島商店に対する売掛金¥200,000について、本日、熊本銀行普通預金口座へ振り込まれた。なお、当社では、鹿児島銀行と熊本銀行に普通預金口座を開設しており、銀行口座について口座種別と銀行名を組み合わせた勘定科目を使用している。

借方科目 金額 貸方科目 金額
普通預金熊本銀行 200,000 売掛金 200,000

 

【例2】熊本銀行の普通預金口座から鹿児島銀行の普通預金口座へ¥300,000を振り込んだ。その際、振込手数料として¥300が引き落とされた。なお、当社では、鹿児島銀行と熊本銀行に普通預金口座を開設しており、銀行口座について口座種別と銀行名を組み合わせた勘定科目を使用している。

借方科目 金額 貸方科目 金額
普通預金鹿児島銀行 299,700 普通預金熊本銀行 300,000
支払手数料 300

 

当座借越の削除

実務においては、煩雑さを避けるために「当座借越勘定」を設定しないことが一般的であることから、期中取引の記帳に関しては、「当座預金勘定」と「当座借越勘定」の使い分けが、出題範囲から除外されました。ただ、使い分けが削除されているだけであり、当座借越取引そのものは、出題の範囲とされています。なお、期中の当座借越取引については、「当座預金勘定」で処理されることとなり、決算時において、当座預金勘定が貸方残高となっている場合には、負債へ振り替える処理などは出題されます。

有価証券取引

有価証券取引については、すべて2級以上での出題とされました。簿記3級検定試験の範囲から除外された理由として、売買のみを3級の範囲としても、有価証券に関する学習者の一貫した十分な理解につながらないという点が挙げられています。

その他の債権と債務

商品券の削除と他店商品券の科目名の変更

実務において、自店発行の商品券は、信用力の高い特定の企業や百貨店など一部でしか扱われていないなどの理由により、今回の改正で「商品券勘定(負債)」を試験範囲から除外されました。他店発行の商品券は、小規模の会社であっても小売業を中心に扱う場合があるため、試験範囲に含まれることになりました。しかし、「他店商品券」は、自店発行商品券が存在している前提として成り立つものであるため、今回、自店発行商品券が試験範囲から除外されたことを受け、従来の「他店商品券」の名称を「受取商品券」に改められました。

【例】商品¥100,000を売り上げ、代金として同額の自治体発行の商品券を受け取った。

借方科目 金額 貸方科目 金額
受取商品券 100,000 売上 100,000

 

差入保証金の追加

小規模会社においても不動産の賃借における敷金など保証金を差し入れることがあるため、「差入保証金」が簿記3級検定試験の範囲に追加されました。

【例】営業用の店舗を賃借するにあたり、敷金¥400,000、不動産会社への手数料¥70,000及び1ヵ月分の家賃¥70,000を普通預金口座から振り込んだ。

借方科目 金額 貸方科目 金額
差入保証金 400,000 普通預金 540,000
支払手数料 70,000
支払家賃 70,000

 

電子記録債権・電子記録債務の追加

電子記録債権及び電子記録債務が簿記2級から簿記3級に移行されました。移行理由としては、利便性や印紙税が不要といった理由から、今後も小規模な株式会社でも利用件数が増えることが見込まれることが挙げられています。

クレジット売掛金の追加

クレジット売掛金が簿記2級から簿記3級に移行されました。移行理由として、小規模の会社においても主に小売店ではクレジットカード決済が導入されていることがあることが挙げられています。

手形の裏書譲渡及び手形の割引の削除

手形の裏書譲渡及び手形の割引の削除されました。削除理由として、実務における資金調達手段の多様化を踏まえつつ、債権の売却による資金調達を一括して2級から扱うことが挙げられています。よって、今まで簿記3級で学習していた手形の裏書譲渡及び手形の割引は、簿記2級の試験範囲とされました。

仕入値引・売上値引の削除

仕入値引及び売上値引が簿記の試験範囲から除外されました。理由として、実務上、商品の不良などが発見された場合には、値引きは行われず、返品や良品との交換が行われるのが一般的であるということ。また、商品有高帳の作成において、返品と値引きの処理が異なるため、学習者が重い負担を強いられることなどが挙げられています。

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