非上場株式の時価評価

日本基準における非上場株式の時価評価

週刊エコノミストの今週号に「楽天会計マジック」という記事が掲載されています。

楽天は、15年6月の1820億円の有償一般公募増資を、同年12月末決算に220億円の非上場株評価益を計上することで乗り切った。18年4月6日の電波監理審議会による携帯事業参入許可を、17年12月期決算に426億円の非上場株評価益を計上することで勝ち取った(週刊エコノミスト8.28号)。

日本基準における「金融商品に関する会計基準」によれば、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券については、取得原価をもって貸借対照表価額とするとされています。この「時価を把握することが極めて困難と認められる」という表現は、従来、「市場価格のない有価証券」という用語が用いられていましたが、2008年の基準改正により変更されました。

このことは、金融商品に関する会計基準の結論の背景にて次のように説明されています。

当該開示の実効性を高めるために、時価が開示されないこととなる金融商品は、時価を把握することが極めて困難と認められるものに限定されたことから、時価をもって貸借対照表価額とする有価証券に関して、その例外的な取扱いは、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券に限定することとした(金融商品に関する会計基準81-2)。

つまり、日本基準においても非上場株式の時価評価については、金融商品の時価情報に関する開示を充実させるために、時価の算定が適切に出来るのであれば、時価評価をするべきものと思われます。

IFRSにおける非上場株式の時価評価

日本基準に対してIFRSでは、関係会社株式を除く持分有価証券については、その所有目的にかかわらず、すべて公正価値(時価)で測定(評価)しなければならないとされています。時価評価を行うことによって計算された評価差額は、損益計算書の「純損益」か「その他包括利益(OCI)」に計上されることになります。

非上場株式は上場株式のように時価が客観的に把握できるものではないため、時価を何らかの方法で求めなければなりません。その方法の1つとして将来キャッシュ・フローを現在価値で割り引くこと方法があります。しかし、ここで問題となるのは、将来キャッシュ・フローは、あくまでも見積もりに過ぎないという点です。

ここで使用される将来キャッシュ・フローは、評価対象企業が自主的に作成した将来5年間程度の事業計画書に基づいて計算される。非上場株式は、予算制度や内部統制などが監査されるわけでもない。はっきり言えば、非上場株式の事業計画書はどうにでもなる(週刊エコノミスト8.28号)。

非上場会社の決算が適正か不適正かは、税務当局が認めるか認めないかということになります。税務当局は公平で適正な課税計算を目的としならがも、結果的に課税所得が増えることについては、問題視せず、反対に課税所得が減ることについては、問題視する傾向にあります。そのことからも非上場会社の決算は、意図的に利益を上げることができ、結果的に非上場株式の評価額を意図的に上げることが可能なのです。

週刊エコノミストの記事には、次のように書かれています。

奇妙なのは楽天の評価益の計上の時期と、資本市場における資金調達や総務省から携帯電話事業への参入許可を得るタイミングとが極めて近いということだ(週刊エコノミスト8.28号)。

保守主義の原則

企業会計には、「企業会計原則」という長年に渡り、企業実務の指針として活用された企業会計の基準があります。その中の一般原則の1つに真実性の原則というものがあります。

企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。

また、一般原則には、保守主義の原則というものもあります。

企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。

 

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