第151回 簿記検定試験2級の問題について

第151回出題の意図

2月に実施された簿記検定2級の問題の評判があまりよろしくありません。一般紙にも今回の問題は難しすぎるといった受験生からの意見や専門学校からの講師からの意見が記事としてあがっているような状況です。

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3月14日に日本商工会議所から今回の検定試験の出題の意図が公表されました。特に問題視されている第3問については、次のような意見を述べています。

関係者の一部に誤解があるように見受けられるため、付言しますが、本問では出題区分表の 1 級の範囲に掲げられた項目は含まれていません。1級の連結はこんなに易しい問題ではなく、本問は、簡易な連結実務の入り口部分にすぎず、何を連結上消去すべきかという基本的考え方を本質的に理解していれば、容易に解ける問題でした。(第151回出題の意図)

簿記2級における連結会計

簿記2級に関しては2016年から2018年にかけて段階的に試験範囲の変更が行われてきました。そして、連結会計については、2017年の11月の検定試験から出題されるようになりました。問題なのは、出題区分表の1級の範囲に掲げられた項目は含まれていないから試験としては十分に成立するということではなく、連結会計が簿記2級の出題範囲として出題されるようになってから時間があまり経過していないということなのです。ましてや今回の問題では、以前に商工会議所が公表したサンプル問題にて紹介していない論点。具体的には、連結第4年度の出題、期首商品の未実現利益の実現等が出題されています。

もう1点述べると、会計期間の表現。×4年度という表現は通常ならば×4年4月1日から×5年3月31日を意味します(国の会計年度も同じ)が、今回の検定試験では、×3年4月1日から×4年3月31日として扱われていました。このことは、試験終了後、多数の方から商工会議所に問い合わせがあったものと思われ、商工会議所も試験翌日(2月25日)にすぐさま、ホームページ上で以下のような意見を発表しています。

国の会計年度では、X4年度とした場合、X4年4月1日からX5年3月31日までを意味しますが、欧米企業や日本の企業の一部では、決算日で区別してX3年4月1日からX4年3月31日をX4年度とする場合があり、本問題はそれに倣ったものであります。

しかし、簿記検定2級の問題で日本企業の一部のみが採用している呼び名をあえて出題する必要があったのか疑問があります。また、このような会計年度の呼び名についても以前に公表されたサンプル問題には紹介されていません。また、次のようなことも出題の意図に書かれています。

問題の指示文に X4 年度が X3 年 4 月 1 日から X4 年 3 月 31 日までを指すことは太字で明記されており、答案用紙の連結精算表にも個別財務諸表の数値は X4 年 3 月 31 日の残高であることが明記されているため、問題の指示文を読めば異なる財務数値を選択する余地はなく、本問の解答のプロセスには全く影響はありません(第151回出題の意図)。

あたかも、問題文に会計期間が書かれており、親切にも太字で明記までしているので、迷う受験生が悪いのだとでも言わんばかりです。いやいやそれは違います。問題そのものが初見に近いものであったため、会計年度の呼び名が今ままでと違っていれば、受験生として混乱するのは当たり前ではないのでしょうか。そこまで複雑にする必要はあったのか本当に理解に苦しみます。最近の会計学者は、IFRSを研究することが多いため、欧米企業の会計年度の呼び名を検定試験問題として採用することについても違和感を感じないのでしょう。

しかし、個人的には、決して今回の問題を全否定するわけではありません。今までのように過去問を繰り返し解きパターンを覚えておけば検定試験に合格できるということよりも、出題の意図にも書かれている通り「連結の基本的な考え方の本質的な理解が重要であることを、受験者に再認識させていただきたいと考えます。」という商工会議所の考え方は非常に共感すべきところです。しかし、受験生負担を考えると徐々に難易度を上げていくという配慮も必要ではなかったのかと感じます。おそらく今回の検定試験では、多くの意見が商工会議所に届いているものと思いますが、その意見を受けて次回以降の検定試験の内容がどのように変わるのか見守っていきたいと思います。

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