「地銀の約6割が10年後に最終赤字」という記事

「地銀の約6割が10年後に最終赤字」という記事

4月18日の日経新聞に「地銀の約6割が10年後に最終赤字」という記事が書かれてありました。現状でも融資や投信の販売による手数料などの本業利益については、地銀の過半数が赤字となっており、その本業の赤字を有価証券の売却や貸倒引当金の戻し入れによる収益で補うことにより最終赤字を回避している状態です。そのような中、日銀の金融緩和政策は終結する見通しもなく、それどころか予定通り増税が実施された場合には、さらなる金融緩和が必要になる可能性もあります。そうなれば、地銀における本業利益は更に厳しくなります。有価証券の売却や貸倒引当金の戻し入れなどによる収益のも限度がありますので、「地銀の約6割が10年後に最終赤字」ということも現実味を帯びてきます。

日銀は足元の地銀の苦境について、マイナス金利政策の影響も認めつつ、より大きいのは人口減や地方経済の停滞、過当競争などの「構造要因」とみる(日本経済新聞2019.0418朝刊記事)。

2015年1月1日から相続税が引き上げられたことにより、その節税対策として不動産投資が注目を浴び、それに対する融資が増えています。

日銀の異次元緩和で、金融機関の融資姿勢がゆるみ、緩和マネーが不動産に向かった。増加が目立つのが個人向けに賃貸用不動産の取得費用などを貸し出すアパートローン。相続税の節税対策としても利用が増えた(日本経済新聞2019.0418朝刊記事)。

地方では人口減少が続いているため、地方にアパート等を建設しても維持することができません。当然アパート等の建設は首都圏に集中することになります。多くの地銀が地元ではなく首都圏に不動産融資を積極化すれば、そこに生じるのは、金融機関同士の低金利競争です。

これについては、前述したように、地方では人口・企業数の減少に歯止めが掛からず、資金需要の低迷から脱せていないという理由が挙げられている。その結果、地元経済圏の融資は伸び悩んだり、落ち込んだりしており、それを穴埋めするためにも、首都圏での融資ビジネスを強化せざるを得ないという事情である。確かに、いまの社会・経済構造を鑑みれば、そうした判断に傾きやすいと言えるだろう。しかし、身も蓋もない言い方をあえてすれば、それはあまりにも安易な発想だった(銀行員は生き残れるか 浪川功著)。

日銀の金融緩和政策はしばらくは続くでしょう。また、人口減に伴う地方経済の活性化についても画期的な方法はまだ見出されていない状態です。そのような中で地方銀行が生き残っていくためには、何が必要なのでしょうか?日銀が17日に発表した金融システムリポートでは、「経営統合やアライアンス(提携)も有効な選択肢」と提示しています。

政府・日銀がそろって警鐘を鳴らすことで構造改革の動きが遅い地銀に対して再編を含めた抜本策を迫っている(日本経済新聞2019.0418朝刊記事)。

しかし、浪川功さんが著書で述べておられる次の言葉はとても大切なのではないかと思うのです。

本来、地銀など地域金融機関は素晴らしい企業群だったはずである。地域経済の基盤となって、地域社会を支えていくことが期待される存在だからである。地域金融機関の世界ではしばしば、自らを「地域の繁栄とともにある」「地域とともに生きる」と評してきた。美しい言葉である。結局、そこに戻れるかどうかが問われているといえる(銀行員は生き残れるか 浪川功著)。

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