野村ホールディングス「1,004億円の赤字」と「ノルマ」について

1,004億円の赤字転落

野村ホールディングスは、2019年3月期の連結最終損益(米国会計基準)が1,004億円の赤字に転落した。通期での赤字転落は2009年3月期以来10年ぶりとのこと。2008年の金融危機後に買収した米リーマン・ブラザースののれん代を減損処理したことが大きな要因とされていますが、日本経済新聞では、「回転売買」を控えたことも要因の1つとして取り上げています。

追い打ちをかけたのが「回転売買」を控えたこと。金融庁が求める顧客本位の営業に基づき、各社は毎月分配型投信や株式の頻繁な売買を手控えている(日本経済新聞2019年4月26日)。

野村証券のみならずほとんどの証券会社は徹底した収益至上主義を貫き、ノルマを達成するために非情な営業活動を行ってきたことは事実であり、そのことは、「野村証券第2事業法人部(講談社)」にも詳しく実情が書かれています。損失が確実な商品を言葉巧みに顧客に販売することは当然のこと。損失額が顧客にわからないように証券会社から送付される運用報告書を顧客の家の前で待ち、郵便局員から顧客の自宅に配達される運用報告書を顧客になりかわり受け取り破棄する。顧客を単に自分のノルマ達成のためのモノとしかみていない。それらの行為はオレオレ詐欺とほとんど変わらない。

野村が業界の雄たり得た理由の一つは、課されたノルマは必達という猛烈な営業力だ。その圧倒的な販売力が株式や社債などの引き受け案件につながるという、リテールとホールセールの両論モデルである。リテールが衰えれば、これまでの成長モデルが逆回転しかねない(週刊ダイヤモンド2019.04/27・05/04合併号)。

しかし、近年の野村証券では、以前と違いノルマ未達でも厳しく問い詰められることがなくなったようです。

「昔は業績の優劣で支店長が飛ばされていたが、今はパワハラなどの人事的な問題で飛ばされるケースが多い。その結果、社員がノルマ未達でも厳しく追い詰められることがほとんどなくなった。今の野村は早く家に帰れるし、給料も高い。コスパの良い会社ですよ」とある元野村社員は、自嘲気味に語る(週刊ダイヤモンド2019.04/27・05/04合併号)。

「ノルマ」は絶対悪なのか?

金融庁が金融機関に対し、顧客の利益を第一に考える営業姿勢を求めていることは大いに理解できます。「ノルマ」を達成するために顧客に対して無謀な販売を行い、顧客が意図しない大きな損失を被ってしまったこと。そして、その多くが金融知識を持たない年長者が犠牲にされたことなど、過去において多くの金融機関が「ノルマ」を達成するために実際に行ってきたことを思えば、金融庁の意見は当然のことと思います。

しかし、「ノルマ」というのは絶対悪なのでしょうか?確かに「ノルマ」によって働く意欲を失くし、会社を辞めざるを得なくなった人もたくさんいることでしょう。しかし、「ノルマ」によって働き甲斐を見出す人も多くいるのも確かなことなのです。

先日、三井住友銀行も行員の個人営業について「ノルマ」を廃止するという報道がありました。

三井住友銀行が個人向け金融商品の販売で、行員に課す「ノルマ」を廃止したことが分かった。これまでは投資信託や保険の販売額などで支店の評価を決めてきた。4月からは評価基準を見直し、顧客の運用残高をどれだけ増やしたかを重視することにした(2019/4/23 18:00日本経済新聞 電子版)。

資本主義の世の中では、強い会社が生き残り弱い会社は消え去ります。強い会社というのは他社に比べて利益をたくさんあげている会社です。そして現在では、世界各国の会社と生き残りの戦いを続けていかなければなりません。そのような状況の中で「ノルマ」を廃止したり、または最低限の「ノルマ」設定で世界各国の会社と戦えるのでしょうか?

「ノルマ」を達成するために長時間労働を課せられたり、「ノルマ」未達のために激しく問い詰められたりしたことによって、自らの命を絶つという悲しい出来事が起きたりします。「ノルマ」というのは非常に難しい問題です。しかし、「ノルマ」を廃止したり、最低限の「ノルマ」を設定することが会社全体での解決策とはなりえないのではないかと思うのです。

 

 

 

 

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