自粛に伴う休業手当の支払いについて

休業手当の支払い

企業が自己の責任において休業した場合には、労働者に対し休業手当を支払わなければなりません。休業手当について規定しています労働基準法第26条では下記のように定めています。

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

労働基準法第26条でいう「使用者の責に帰すべき事由」とは、企業の経営者としてどうにもならない旨を主張し得ないすべての場合を含むと解されています。そうなると、今回の非常事態宣言が、「使用者の責に帰すべき事由」に該当するかどうかが問題となってきます。「使用者の責に帰すべき事由」に該当すれば休業手当の支払いが必要となり、「使用者の責に帰すべき事由」に該当しなければ休業手当の支払いが不要となります。厚生労働省は、「緊急事態宣言が出た場合、改正新型インフルエンザ対策特別措置法という法律に基づく要請ということになり、事業者都合という解釈が成立しなくなる。」との見解を示しましたが、その後、加藤厚生労働大臣は、4月7日の記者会見で、企業側の支払い義務について「一律に、直ちになくなるものではない」と述べており、現時点では判断が曖昧な状態になっています。

弁護士の倉重公太郎さんは、非常事態宣言時においては外部的要因による、通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事態であるため、「使用者の責めに帰すべき事由」はないと考えるべきと述べておられます。しかし、「使用者の責めに帰すべき事由」ではないため、企業が労働者に対して休業手当を支払う必要はないというのは、また別の議論とされています。

「使用者の責めに帰すべき事由」がなく、労基法上の休業手当支払義務がないとしても、「何もしない」でいいのか、というのはまた別の議論です。法律上の休業手当支払義務がある場合は「平均賃金の6割」という基準に縛られますが、法律上の義務ではない賃金支給を行う場合は自由に設計できることになりますので、ここはしっかりと分けて検討する必要があります。(ヤフーニュース緊急事態宣言で給料はどうなる!?より)

雇用調整助成金

緊急経済対策では、企業が雇用を維持できるよう、休業手当の費用を補助する「雇用調整助成金」を6まで増やすとしています。通常は中小で手当の3分の2としている助成率を、従業員を解雇しない場合は10分の9まで上げるとしており、また、加入期間が6カ月未満の新入社員や非正規社員も今回は、対象に含めるとしています。今、求められていることは企業の存続であり、雇用の確保という点です。そのことからも休業手当の支払いについて法律上の論点である「使用者の責に帰すべき事由」ということを考慮することなく、企業は自粛による休業を余儀なくされた場合には、迅速に休業手当の支払いが望まれるものと考えます。

事業主のための雇用関係助成金について(厚生労働省)

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