ストレスチェックの実施について

ストレスチェックの実施

2014年6月の労働安全衛生法の一部改正により、ストレスチェック制度の義務化が翌年2015年12月より開始されました。

事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない(労働安全衛生法第66条の10第1項)。

労働安全衛生規則(第52条の9)によれば、事業者は、常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回、定期に、次に掲げる事項について検査を行わなければならないと定めています。

1.職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目

2.当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目

3.職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目

なお、このストレスチェックにより、受検した労働者の心理的な負担の程度が高く、当該労働者が医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、医師による面接指導を行わなければならないとされています。

事業者は、前項の規定による通知を受けた労働者であって、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものが医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。この場合において、事業者は、労働者が当該申出をしたことを理由として、当該労働者に対し、不利益な取扱いをしてはならない(労働安全衛生法第66条の10第3項)。

ストレスチェック制度の課題

ストレスチェックは、職場環境の改善につなげることで、リスクの要因そのものを低減させることをその実施の目的の1つとされています。そのためには、職場におけるストレス要因を適切に評価する必要があるため、検査結果の集団的分析が求められています。

事業者は、検査を行った場合は、当該検査を行った医師等に、当該検査の結果を当該事業場の当該部署に所属する労働者の集団その他の一定規模の集団ごとに集計させ、その結果について分析させるよう努めなければならない(労働安全衛生規則第52条の14第1項)。

また、分析結果に基づき、必要に応じて適切な措置を講じることも求められています。

事業者は、前項の分析の結果を勘案し、その必要があると認めるときは、当該集団の労働者の実情を考慮して、当該集団の労働者の心理的な負担を軽減するための適切な措置を講ずるよう努めなければならない(労働安全衛生規則第52条の14第2項)。

しかし、このストレスチェック制度について、公益財団法人日本生産性本部によって、下記のような調査結果が報告されています。

第9回「メンタルヘルスの取り組みに関する企業アンケート調査結果」日本生産性本部

→第9回「メンタルヘルスの取り組むに関する企業アンケート調査結果」公益残団法人日本生産性本部

ストレスチェックに関する取り組みの中での課題としては、前回の調査結果と同様、上位3つが、「集団分析結果の活かし方」、「高ストレス者への面接以外のフォロー」、「医師面接勧奨者が面接を希望しないこと」となっています。そもそもストレスチェックは、増加傾向にある労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することを目的として実施されました。

今回新たに導入されるストレスチェック制度は、定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとともに、検査結果を集団的に分析し、職場におけるストレス要因を評価し、職場環境の改善につなげることで、リスクの要因そのものも低減させるものであり、さらにその中で、メンタルヘルス不調のリスクの高い者を早期に発見し、医師による面接指導につなげることで、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止しようとする国を挙げた取組である(労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度に関する検討会報告書)。

→労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度に関する検討会報告書

上記の調査結果の上位3つの課題は、本来、ストレスチェックの実施により得られるはずの効果が全く機能していないことを表しています。ストレスチェックは国が決めたことだからやらなければいけない義務でしかないと企業が考えた場合、ストレスチェックの実施に要したコストは、利益のマイナス要因と捉えてしまいます。しかし、ストレスチェックを労働者のメンタル不調を未然に防ぐことで、将来の収益獲得に役立つものと考えた場合、それは、単なるコストではなく投資に変わるのです。そのことを考えれば、企業のメンタルヘルス対策にとって大切なことは、短期的な視野に立った企業展望ではなく、長期的な視野に立った企業展望を事業者がしっかり見据えることだと思うのです。

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