2019年度より試験範囲が変更されます。

3級から2級へ移行される論点

有価証券 「売買のみを3級の範囲としても、有価証券に関する学習者の一貫した十分な理解につながらない。」との理由により、有価証券はすべて2級以上で学習することになりました。
手形の裏書・割引 「実務における資金調達手段の多様化に踏まえつつ、債権の売却による資金調達を一括して2級から扱う。」との理由により、従来、簿記3級で学習していた手形の裏書及び割引については、簿記2級で学習することになりました。
有形固定資産の直接法 「財産管理や財務諸表作成目的から取得原価と減価償却累計額を別の勘定として設定することが望ましく、また近年は直接法の出題がほとんどないこと、受験者の学習負担も考慮」との理由により、直接法は2級以上の範囲とされました。

 

2級から3級へ移行される論点

電子記録債権・債務 「電子記録債権・債務は、利便性や印紙税が不要といった理由から今後も利用件数が増えることが見込まれる。」との理由により2級から3級へ移行されました。しかし、電子記録債権の譲渡や割引については、「債権の売却による資金調達を一括して2級から扱う。」との理由により2級で学習することになります。
クレジット売掛金 「小規模の会社においてもクレジットカード決済が導入されていることがある。」との理由により、2級から3級へ移行となりました。
消費税 「消費税は企業規模に関わらず必然的に生じるため、3級受験者にとっても重要である。」との理由により2級から3級へ移行されました。ただし、学習負担の考慮により3級では税抜方式に限定して出題されます。
純損益の繰越利益剰余金への振り替え 今回の改正により簿記3級の前提が個人商店から株式会社に変更となりました。その変更に伴い、純損益の繰越利益剰余金への振替処理も2級から3級へ移行されることとなりました。
設立及び増資 今回の改正により簿記3級の前提が個人商店から株式会社に変更となり、「株式会社に関する簿記学習にあたり、設立・資金調達から利益を稼いで株主へ分配するという一連の流れの理解が欠かせない」との理由により、設立及び増資に関する処理についても2級から3級に移行されました。
剰余金の配当 剰余金の配当及びそれに伴う利益準備金の設定についても2級から3級へ移行されることとなりました。ただし、「3級受験者の学習負担を考慮」という理由により、任意積立金及び準備金積立額の算定は2級に残すこととなりました。

簿記検定2級試験の概要

受験資格 特に制限はありません。
 試験日  6月(第2日曜日)、11月(第3日曜日)、2月(第4日曜日)
 申込手続  申込書に受験料¥4,630(税込み)を添えて各商工会議所にて手続きを行います。
 合格基準  100点のうち70点(70%)以上

簿記2級の合格率(日本商工会議所 HPより)

 年度  2018年6月   2018年11月 2019年2月(最新)
 受験者数   52,694名  64,838名 66,729名
 実受験者数 38,352名 49,516名 49,776名
 合格者数 5,964名  7,276名  6,297名
合格率 15.6% 14.7% 12.7%

 

簿記2級に合格するために

最近の簿記2級の検定試験は難しい。といった意見がよく聞かれます。結論から言えば、過去の検定試験と比べれば確かに難しくなっていますし、今後もさらに難しくなるでしょう。以前は、過去の試験問題を繰り返し解いて解答パターンを身に付ければ合格することができました。しかし、ここ最近の検定試験は、過去の問題と異なったパターンの問題が出題されてきていますし、新規の論点が増えていますので、全体的に以前よりも学習しなければならない項目が増えてきていることも難易度が高くなっている原因かと思います。

工業簿記を完璧にすることが大切!

検定試験が難しくなっているのは、商業簿記が原因です。新規論点も商業簿記のみであり、工業簿記は一切変更はありません。簿記2級の検定試験は、全体の配点が100点に対し、商業簿記が60点、工業簿記が40点という組み合わせになっています。多くの方は、簿記2級を簿記3級の延長ととらえ、商業簿記から勉強し始める傾向にあります。しかし、それは間違いです。工業簿記から先に勉強すべきなのです。理由は2つです。1つは、商業簿記は範囲が広く、覚える項目も多いため、学習途中で挫折をしてしまう可能性が高いということです。2つめの理由は、工業簿記で高得点を取らないと本試験には合格できないという現状があるからです。工業簿記は新規論点も範囲の変更もありませんので、過去問題を繰り返し解くことで、満点を取れる力を養うことができるのです。先に工業簿記を学習し終えることで、商業簿記の勉強と併行して過去問題の工業簿記の範囲を解答することができます。そのことがとても大切なのです。検定試験に合格するためには、工業簿記で満点(40点)を取って、商業簿記で合格点までの残り30点以上を取るということが大切なのです。

商業簿記で満点を狙わない

平成29年2月の合格率は25.0%、平成29年6月の合格率は47.5%、そして平成29年11月の合格率は21.2%となっています。6月と2月及び11月の合格率との違いの原因は、商業簿記の難易度の違いからくるものです。6月の合格率が他の合格率と比べて高いのは、商業簿記の問題が簡単だったことです。ここでいう簡単というのは、過去の試験問題を解答すれば間違いなく問題が解けるという意味です。しかし、2月及び11月の検定試験では、商業簿記の問題が難しかったのです。ここでいう難しいというのは、過去の試験問題を解答していても問題が解けないということです。

簿記2級の検定試験は、平成28年度からの3年間で、段階的に改定がされています。改定の趣旨として会計実務の重視が挙げられています。会計実務を重視するということは、問題作成者は、学者ではなく税理士等の実務家に変更がなされていることを意味しています。その変更により商業簿記については過去問題さえ解くことができれば、試験に合格するという時代ではなくなりました。最近の試験問題は、税理士の簿記論の問題かのように集計力が問われる問題が増えてきています。それはそれで簿記の本当の力をテストするという側面からみれば決して悪いことではありません。しかし、受験生にとっては大変です。なぜならそのような問題に対応するテキストがないからです。そのような状況の中、商業簿記で満点を取ろうと思うことは決してはやってはいけません。集計力が問われる問題は、自分が思っている以上に時間がかかるものです。試験時間は2時間です。残り時間が少なくなればなるほど、ケアレスミスが増えてくるものです。商業簿記では、わかるところを確実に解答し、わからないところは問題自体を飛ばす。そして、時間がかかりそうだなと思った問題は、後に回すことが大切なのです。

王道は過去問題

簿記の資格取得のための専門学校が多くあります。それら専門学校の作るテキストや問題集そして模擬試験問題等のベースになるものは、過去の試験問題なのです。オリジナル問題とうたっても、その問題のベースになるのは過去問題であることは間違いありません。簿記2級の検定試験でも、試験に合格するためには、過去問題を繰り返し解くということは、とても大切なことであり、それ以外に王道はないといっても過言ではありません。確かに最近の検定試験、特に商業簿記については、過去問題と違うパターンで出題されたりしていることは事実です。しかし、新しい論点などが出題されても、過去問題を繰り返し解いてさえいれば、合格点に達するように検定試験問題はできています。そこはやはりプロなのです。試験に合格するためには、試験日までに何回も繰り返し過去問題を解く時間を取ることが必要なのです。そのためには、早期に基礎部分を終えることが重要になってきます。